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2024/05/06 20:20 |
秋雨のキス SS
自室の窓のさんに座り、レモンティーを飲む。

外は雨。

最近そんな天気ばっかり。

昨日の体育祭は何とか出来たんだけど、それでもやっぱり雨よりは晴れの方がいい。

毎日雨や曇りなんて、嫌だ。



外を見てため息をつく。



「どうかした?ため息なんかついて。」



私の横に座ったのは、私の彼氏である周助だ。



「トレーニングは終わったの?」

「うん。今日のメニューはこなしたよ。」

「そう」

「君は、憂鬱そうだね」

「だって…。」



本当は、彼とテニスがしたかったのだ。

だけど、外は生憎の雨で。

テニスどころじゃない。



「折角、周助と休みが合って、一緒にテニスが出来ると思ったのに」

「楽しみにしてくれてたんだ」



レモンティーを置き、彼の方を向く。



「僕は室内テニスコートでもよかったんだけどね」

「そういう気分じゃないの」



分ってるよ。

それが私の我が儘だって。

けど、外でやりたい気分なんだもん。



「ピアノはよかったの?」

「なんか集中できなくて…。」

「そんなに僕とのテニスを楽しみにしてたんだ」

「いけなくて?」

「まさか。大歓迎だよ。」



私は今日何度目か分からないため息をつく。



「ダメだよ、瑠璃唖」

「ほぇ?」

「ため息をつくと、幸せが逃げていくって話、忘れたの?」

「大石君が言ってたやつね」

「クスッ。大石は、本気で信じてるからね。」

「本当にあの人は人が良過ぎるものね」

「それが、大石の良い所なんだけどね」

「そうね」



私たちが笑い合うと、彼が私の手を握る。



「僕的には、こんな日も悪くないかなって思うけど」

「どうして?」

「君の傍に居る時間が長くなるから」



そう言って、私に微笑む。



「周助」

「ん?」

「本当はね、外でやりたかったのには理由があるの」

「うん」

「うちのテニスコートの近くに、コスモス畑があるの。そこに一緒に行きたくて…。」

「君は、可愛い事しか言わないね」



彼はクスッと笑うと、私の肩を抱き寄せる。



「次はいつ行けるかなんて、分かんないもん」

「そうだね。君は時の人だから。」



そして、私の頭を優しくぽんぽんとする。



「いつか行こう」

「でも、いつになるか…。」

「それが来週か来月か来年かその先か分かんないけど、僕は覚えてるよ。君のためだから。」

「周助」

「約束しよう。2人で見に行くって。」

「うん」



私たちは見つめ合うと、彼の顔が近付く。

私はゆっくりと目を閉じる。



外で雨が降っている音を感じながら、私たちはキスをする。

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2016/09/26 15:42 | Comments(0) | ショートストーリー

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